Sweet Survivor

青緑の狭間に生きる

偽義経冥界歌をみてきたよ【ネタバレ】

 

義経冥界歌(にせよしつねめいかいにうたう,以下偽義経)を見てきました。当日券で入ったのでそれについての話も交えつつ思ったことについてネタバレを含めながら書いていきます。

【当日券】赤坂ACTシアターの話

公演日前日予約を使って予約しました。11:30くらいに電話したらあっさりつながって取れたので平日なら結構取りやすいかもしれません。当日指定された窓口でチケットを引き換えるのですが、手書きのチケットでした。席番はほぼセンターで中心より少し前の列でした。当日券で行くとステージとの距離が近すぎず遠すぎず、見切れが少ない結構いい席なことが多い気がします。(ただし案内の際に見切れ席の可能性はあると説明を受けるので他の人がどんな席に当たっているかは不明)

 

【感想】

 偽義経はいのうえ歌舞伎と題名にある通り、歌舞伎を意識した演出が節々に見られる。鼓の音も聞こえるし、見得を切るような場面もある。中でも印象的だったのが隈取。これはパンフレットでも触れられていたが、国衡/義経は赤い隈取でその他の木乃伊(ミイラ)は青い隈取をしていた。赤い隈取はいいキャラで青い隈取は悪役らしい(ざっくり)。木乃伊の隈取は時平の隈のように見えたけど不気味で冷たい印象が出るらしい。木乃伊が生き返っている時点で十分不気味で信じがたいことであるが、この舞台の後半は木乃伊と生身の人間の対決という一面もあるので重要な人物である。

殺陣の場面が多く、見せ場だった。とあるインタビューで生田さんは舞台稽古に入る前に練習したと述べていたが、早乙女さんと殺陣をする場面もある。2人が白い服を着て白い長髪を振りかざして殺陣をする様が本当に美しかった。これは幻…?と思いつつもチケット代の半分はこれと衣装と照明だと確信した。

国衡が木乃伊になってから鏡の中で自分自身を見つめなおすシーンがある。これまで描かれてきた国衡はアホで素直な悪い人間じゃないというものだったが、木乃伊になっても自分を顧みずに行動する姿を見かねた他の木乃伊に鏡の中に閉じ込められてしまう。このシーンは自分のことは他人にどうこう律することのできるものではなく、結局自分自身しか律することができないという考えのあらわれではないか。自分のことは自分にしか変えられない。

家制度について触れた場面もあった。国衡/義経は非嫡出子であり、泰衡は嫡出子という設定だが、黄泉平の方の接し方が異なっていた。黄泉平の方は自分と血縁関係である泰衡に継がせたいという気持ちが見えるシーンもある。そんな中、泰衡は本人に自信がないというのもあるが同じ兄弟で国衡が兄だから兄が継ぐべきであると主張していたのが印象的だった。 

作中、特にカーテンコールで感じたことだが、生田さんの歩き方がとても軽やかでそれでいて風格を感じた。三方礼も軽やかでかっこよかったなあ。座長の立場に立つ人はみんなできるんだろうか。

 

わたしが最も最近見たのがこの舞台だが、この後チケットを持っていた舞台は軒並み中止・延期になっている。社会のあり方が変わるタイミングで、また平穏な日常が戻ったとしても以前と同じような舞台を楽しめる日常が来るのかということは誰にもわからない。もし、また舞台の幕が上がるとしたら、自分のできる限りの形で協力したいと思っている。